ちょっと真面目なお話

先日、とある場所で、おそらく30代か40代になるかならないかと思われる女性が、「どうして今の子って頭が悪いんだろう。」と友人と思われる方に嘆いているのを耳にしました。否定的なニュアンスではなく困っている感じだったので、職場か何かの問題なのかな、と推察出来るのですが・・・

日々、子供達と接している身としては、なかなかに複雑な思いでした。

バレエを通して沢山の子供達と接するようになって、十数年がたちますが、確かに変化は感じます。これはあくまでも全体的な印象なのですが、自分で考えない子が増えているような気がします。資質は決して悪くはなく、素直でいい子が増えているのですが、逆にいえば、大人の言う事をそのまま一生懸命やるだけなのです。

 

言われる事を一生懸命やることのなにが悪いのか、と思われるかもしれません。それそのものは決して悪い事ではないのですが、問題は一生懸命やる時に自分の思考を通していない事にあります。言われた事はちゃんとやりますし、資質はありますから、その時は出来ます。でも自分の考えを通していないので、言われなければ思い出しもしないのです。指摘されて、あ~、そうだ、と気付く。でも、その時も自分で考えないから、また言われないとやらない。その繰り返しです。

 

今の時代、子供が何かをやろうとすると、すべからく大人の指示が飛んできます。何か出来ない事があると、出来るように指示をくれます。

昔は何か作ってみたいものが出来た時、それを教えてくれる大人が近くにいる事は大変な幸運でした。大抵の場合、身近にあるもので似たように出来ないか悪銭苦闘したり、図書館で本を探してみたり、周りに聞いて回ったりなど、方法(どうやって作るか)にたどりつく迄に苦労がありました。

今はクリックひとつで、たいていの物は見つけることが出来ます。また、さらに悪い事に、KITという、材料から作り方まで全部入っている至れり尽くせりの魔法のセットがあります。

それが当たり前の生活をしていると、指示どおりに頑張れば出来ると思って行動してしまうのは自明の理かと思います。さらに習慣化すると、自分で考える事なく指示に従って頑張る事に疑問すら持たなくなるのでしょう。自分で考えてやった事ではありませんから、記憶には残っていても知識や経験にはなっていない。つまり、創意工夫をする材料にはなりえないのです。

また、子供の資質も悪くなく、出来るように大人が導く訳ですから、それは成功の記憶として残る。出来たと思ってしまう。でもひとたび指示が無くなってしまうと何も出来なくなってしまって、自己不信や自己否定に陥ってしまう。

 

その状況だけをとらえると、頭が悪いという表現になるのではないでしょうか。頭が悪いのではなく、自分で考えて行動する事が全く訓練されていないだけではないかと思います。身体も頭も精神も、使って鍛えて適度なプレッシャーをかけ、失敗と成功を繰り返すことで強く、賢く育てていくものなのではないでしょうか。

人は失敗から学び、失敗を繰り返す事で成長するというのは本当だと思います。でも、学び成長する為には考えなければいけません。この考えるという行為が今の子供達がもっとも行っていない事のような気がします。

 

物質的には何不自由なく恵まれていると考えられている今の子供達ですが、私には非常に危険なあやうい育ち方をしているように感じられます。

そんなわけで、最近の私の課題は「自分の頭を使うバレエクラス」なのですが、いかんせん慣れていない子が多い為、待っているとまあ時間がかかるかかる。バレエクラスとして成立しなくなります。非常に難しい課題なのであります(⌒-⌒)

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