たまに「先生にとって理想のバレエはどんなものですか?」
と聞かれる事があります。
そんな時、む~、と考え込んでしまうのですが・・・
多分、どの立場からバレエを観るかで、理想は変化すると思います。
また、理想というよりは、好み、といった方が私はしっくりきます。
技術的に一定のレベルを満たした後は、やっぱり心の琴線に触れるか触れないか、が問題になり、そこは突き詰めるとやっぱり個人の好みになると思うんですよね。
プロとしてならば、「お金を払っても観たい!」と思うものを最低基本としてほしい。欲を言えば、興奮をプラスしてほしい。心を動かしてほしい。プロでしか成しえないであろう、細部まで手が届いた、最高に精密なものの上に心が通じる公演が観たい。
「発表会」としてならば、キラキラしていてほしい。技術的な課題はともかく、あ~、踊るのが好きなんだなあ、頑張ってるなあ、かわいいなあ、楽しそうだなあ~、と子供達が舞台上で生き生きしている姿が観たい。
そういう意味では、10月の発表会を観に来てくれていた子供達が、観終わったあと、ロビーで踊っていたという話を聞いて、とても嬉しかったです。中には、その後バレエを始めた子もいるそうな。コロナ禍の中、何か明るいやる気につながっていたら本当に嬉しい。
技術的には、綺麗なアン・ディオールからの足先が逃げ出すようなデブロッぺが好き。回転は音楽とシンクロしていてアクセントが欲しい。背中、首、腕、は流れるような美しい動きの中に、そこはかとなく物思いが漂う感じが好き。ジャンプは空気を切り裂いて、空中に浮遊する感じがあるジャンプが好き。
そして何より、物語がないバレエであれば音楽を、物語があるバレエであれば演じている人物の心情を伝えて訴えてくる踊りが好き。
かなりマニアックな好みである事は自覚しております(笑)
ま~、なので平壌オリンピックでの羽生さんのエキジビションの演技はドンピシャ好みでした。バレエではないけど(;^_^A